ホンダトレーディングは廃棄物のコンサルティングビジネスにおいて、「環境パッケージ」というネーミングで、全国のHonda四輪販売店と一部の二輪販売店にサービスを提供しています。当社の設備・環境事業部、およびお客さまに、現在の取り組み状況、その効果について聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。
取材・撮影ご協力:株式会社ホンダカーズ中央佐賀
販売店の業務負荷を軽減する環境パッケージ
- ー環境パッケージの内容について教えてください。
- 荒舩:環境パッケージでは、全国のHonda Cars(ホンダカーズ)さまを中心に環境に関するサービスを展開しており、サービス内容としては大きく3つあります。
1つ目が廃棄物管理サービスで、販売店さまでの車両メンテナンス時に発生する廃棄物の適正処理に関するサービス業務です。具体的には産業廃棄物業者との調整・交渉や、契約手続きや定期的な現場監査、他にも電子マニフェスト(*)の導入から入力まで、廃棄物処理に関連する業務を販売店さまに代わって行っています。
(*) マニフェスト:産業廃棄物管理票のことで、産業廃棄物に関する正しい情報の伝達と適正な処理の把握を目的として、排出事業者がその処理を外部に委託する際に交付する専用伝票のこと
2つ目は自動車部品などのリサイクルサービスで、ホンダカーズ様が下取りした自動車や交換修理後の使用済みの鉛バッテリーやバンパーを中心に適正処理にとどまらず、新しい製品の生産に使用できるよう再資源化を行っています。
そして3つ目がリネンサービスで、整備士さんが着ているユニフォームのクリーニングサービスです。
環境パッケージは、この3本柱から成り立っており、販売店さまにおける付随業務を当社で一括して受託することを通じて、スケールメリットや効率性を付加価値としてご提供しています。
- ー廃棄物管理サービスを立ち上げた背景や目的は?
- 荒舩:ホンダカーズ様にとっては環境法令などに関する情報不足や、販売店におけるコア業務が忙しく廃棄物管理まで手が回らないといった事情があったと聞いています。社会的な大きな流れとして厳格化していく廃棄物処理に関する法令をキャッチアップして、実際の業務に反映していく、それを販売店各社で対応するのは非常に労力が掛かることだと考えています。
まずは、関連する法令や規制を知って環境意識を高めていただく、それから私たちがお客さまの代わりに、管理業務をサポートするサービスが生まれてきました。ホンダカーズ様が当社の廃棄物処理サービスを導入するメリットとしては、手間や工数を省ける、そして販売店様としてのコア業務に集中いただけることが一番大きいと思いますね。
- ーリサイクルサービスやリネンサービスについても、教えてください。
- 荒舩:鉛バッテリーを例にとると、ホンダカーズ様から使用済みの鉛バッテリーを有償で買い取り、協力会社で処理、ならびに鉛に再資源化して、バッテリーメーカーさまに納入するという国内循環のスキームを構築しています。このサービスは2015年に始まり、現在の回収率は約70%まで向上しています。
リネンサービスは、販売店で整備士さんが着た作業ユニフォームの調達から、日々のクリーニングサービスまで当社が仲介するサービスです。他にも通気性・速乾性の高いリサイクル素材を使った暑熱対策用のユニフォーム(*)のご提案も行っており、従業員満足度の向上の施策の一つとして期待いただいています。
これらは各地のホンダカーズ様が個別に委託するよりも当社が一括で行うことによるスケールメリットも発揮できていると考えます。
(*) 導入開始時期はご相談ください。
全国8ブロックできめ細かにサービスを提供
- ー環境パッケージの強みはどこにあるのでしょうか?
- 荒舩:私たちの強みは2点あると考えていまして、1つ目が関係会社とのネットワークです。廃棄物業者様を例にとれば、北海道から沖縄まで380程度の業者とお取引があり、お客さまに応じて最適な業者のご提案が可能です。また、法令により定期的に廃棄物業者様の現場監査が求められますが、お客さまに代わって当社がその対応を行うことができます。
2つ目はエリア担当制による顧客サービス力です。全国を8ブロックに分け、エリアごとに担当者を置いているところだと思います。これにより、エリアに特化した情報収集力を通じて、きめ細やかにお客さまに対応できています。
エリア担当はその地域のお客さまとのコミュニケーションをしっかりとっていくことを重視していますので、その結果として、当社と既に取引されている販売店様経由で、他の店舗様を紹介していただいた事例もあります。
環境パッケージ導入先の販売店からの声
環境パッケージ導入先の事例として、株式会社ホンダカーズ中央佐賀のサービス部門責任者に話を伺いました。
- ーホンダトレーディングの「環境パッケージ」を導入する前の環境対応業務はどのように行なっていたのでしょうか?
- HC:以前は、取り組みが十分なのか不安を抱きながら業務に当たっていました。当然、法令違反のないように自動車整備振興会や横の繋がりで他の販売店さまと情報共有を行いながら、環境に関する法令対応の把握に努めていました。ただ、話を聞いて実際に対応しようとしても、何をどうすれば良いのか分からないといった不確かさが正直ありましたね。
- ーホンダトレーディングの環境パッケージを利用されていかがでしたか?
- HC:6年程前からお取引を開始しましたが、安心してお任せできるようになったのが一番のメリットですね。何かあればホンダトレーディングさんに教えてもらって、うちの会社でやるべきことを対応する。
具体的には、最初の廃棄物業者との契約だけでなく、日々の回収がスムーズにいくように業者さんとスケジュールの調整までやってもらえるので助かっています。また新たな地域に店舗を出す時にもその場所に応じた業者さんの提案からしてくれるので、安心してお任せしています。
- ー定量的な効果についてはいかがでしょうか?
- HC:例えば、これまで紙のマニフェストで管理をしていましたが、ホンダトレーディングさんに電子マニフェストの導入をお願いしました。電子化の効果としては、一回の廃棄物処理に当たって1時間程度の工数削減ができているかと思います。店舗データの集計作業も省人化ができますし、書類を探す時間や法令や規制変更に対応する為の調査業務も含めると、大きな効果を感じています。
電子マニフェストがなかった頃は、紙の書類を5年間保管しないといけないなど管理が大変でしたが、導入後はシステム上で過去の履歴がいつでも確認でき、紙の管理も不要となり、すごく楽になりました。
何よりも困った時や疑問に思った時に荒舩さんに問合せをすれば、適切な回答をいただき、かつ実務までフォローしてくれるので工数削減だけではない価値を感じています。
顧客に環境への取り組みを訴求
- ー今後、環境パッケージとしては、どのようにサービス拡大を狙いますか。
- 荒舩:自動車販売店さまで申し上げると、南関東や中部エリアはまだまだご提案できていない環境パッケージの未導入店舗も多く、取引拡大の余地があると見ています。それらの法人様にも当社のサービス紹介を引き続き行っていきます。
また、東南アジアやその他の地域においても環境規制の厳格化が進んできており、今後はグローバルも視野にサービスの拡充を図りたいですね。
廃棄物管理サービスやリサイクルサービスで申し上げると、販売店さまに限らず、製造業においても十分にご活用いただけると考えています。廃棄物管理にお困りの事業者さまがいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせをいただき、一緒に取組んでいきたいです。
- ー主要なお客さまである販売店に向けメッセージをお願いします。
- 荒舩:私たちはHondaグループとして、個社の利益のためだけではなくグループ全体として、環境に対しての意識を高める上でも良いサービスを提供したいという想いがあります。
今後も販売店さまをはじめ、グループ内外で頼られる存在になりたいと考えていますし、お客さまとともに環境についての興味や関心を高め合い、お客さまのより良い経営のために、そのサポートをさせていただきたいですね。