Case Study 05

新商材の開拓を通じた次世代モビリティ競争力への貢献

鉄鋼事業部は、コイルセンター運営を含めた商物一貫サービスを売りに、さまざまな商材・サービスで各国の顧客期待に応えてきました。"100年に一度の変革期"と言われるものづくりの世界で、取り扱い商材の変化にどう対応するのか、鉄鋼事業部のおふたりに聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。

バラエティーに富んだ材料をお客さまの近くで

バラエティーに富んだ材料をお客さまの近くで

ー鉄鋼事業部の事業概要について教えてください。
朴澤:当社は現場・現実・現物の三現主義のもと、会社としては19ヵ国58の拠点を設けておりますが、そのほとんどに鉄鋼事業に従事するアソシエイトがおり、年間約500万トンの材料をグローバルに取り扱っています。
本部所属の従業員は60名弱おりますが、常時30%前後の社員が国内外の各拠点に出向しており、お客さまの現場の最前線で日々の業務にあたっています。ちなみに多くの中堅・若手社員がそうであるように、私も古藤も20代~30代にかけて国内・海外の拠点への出向を経験しています。
PC画面の向こう側、電話の向こう側で海外・お客さまと繋がるのではなく、事業部の誰しもが現場でグローバルを体感する機会があると思います。

古藤:当事業部ではモビリティに関わる多岐にわたる材料を取り扱っており、車体用の鋼板や、エンジン、トランスミッションを構成する特殊鋼やアルミ板も扱うなど、バラエティーに富んでいます。グローバルなネットワークを活用して生産拠点にさまざまな材料を届け、お客さまの期待に応えてきました。
また、単にものを右から左に流すというのではなく、上記の材料の多くはお客さまによりお使いいただきやすい仕様にするために一定の加工を施すサービスも展開しています。自社でも鋼板を加工するコイルセンターを中国に2拠点とインドに1拠点抱えておりますが、その他の拠点においても協力メーカーさまとの互恵関係を構築し、グローバルで付加価値の高いサービスを展開しています。

電動化で需要が増す電磁鋼板とアルミ板

電動化で需要が増す電磁鋼板とアルミ板

ー自動車の電動化が進み、これまで鉄が使われていた部材がアルミに置き換わるなど、自動車自体の軽量化も進んでいます。こうした変化に鉄鋼事業部としてどのように対応していますか?
古藤:100年に一度と言われている変革期のなか、電動化や軽量化に伴い自動車で使われる鉄の使用量が減り、特にエンジン周りで鉄の使用量が大きく減ってきています。ただ一方で、電動化では駆動モーターの鉄芯として使われる電磁鋼板の使用量が増えていきます。こうした代替需要を取り込んでいくというのが、私どもの戦略の一つです。

自動車に使用される鉄の量が減る一方で、電磁鋼板は今後需要の増大が見込めます。さらに電動化が進んでいくと、自動車の重量を軽くするためにアルミ板などの使用量が増えていきます。電動化で需要増が見込めるアルミ板についても、ビジネス拡大のチャンスだと見ています。

「鉄鋼」事業部でなぜアルミを?と思われるかもしれませんが、板のような展伸材は鋼板をご使用されるお客さまと同一であることが多いためです。
ー電磁鋼板とアルミ板の戦略について、それぞれもう少し詳しくお話を聞かせてください。
朴澤:電磁鋼板は近い将来、需給が逼迫する、ないしは需要が供給を逆転すると言われているような材料です。これからたくさん電磁鋼板を扱っていくためには、事前にしっかりと商流設計をしておくことが肝要だと考えます。

具体的なアプローチとしては、電磁鋼板を使用されるお客さまの企画の段階からチームの一員として加えていただき、最適な調達スキームづくりをサポートしています。お客さまと私たちの二人三脚で、安定供給を可能にするような体制やスキームの具現化に取り組んでいきます。

お客さまやサプライチェーンの関係各社と強固な関係を初期段階から築くことによって、量産段階に入った時にも円滑な調達・供給業務が可能になります。

アルミ板については、実際に商用化されている自動車ボディーに当社が供給したアルミ板が採用されるなどの納入実績を持っています。こうした実績を踏まえて、電動化では私たちは自動車のボディー以外のところ、例えばバッテリーケースやウォータージャケットなど、アルミが新しく使われる領域を今後も攻めていきたいと考えています。

開発から量産まで一貫サポート、グローバル展開も狙う

開発から量産まで一貫サポート、グローバル展開も狙う

ー開発から量産までの一貫サポート体制も事業部の強みだそうですね。
朴澤:自動車メーカーさまにおける材料使用の情報をしっかりと収集して、コストを含めたお客さまの要望を満たすような材料をグローバルで探索し、提案するところがまず第一点です。
幸いにも我々のグローバルでの長年の商活動を通じて関係性を構築してきた材料メーカーさまが各地域にいらっしゃいますので、ご要望に沿えるような材料提案ができると考えております。

また、細かい話にはなりますが、提案した材料がお客さまのご使用に値するかどうかを検証するためのアレンジも対応しています。工程の実地検証の調整、試作材の手配など、お客さまの開発スケジュールに沿ったタイミングでコーディネートしています。

さらにお客さまの安定的な量産を支えるために、商物流のスキーム構築の提案も行っています。量産立ち上げに向けてサプライチェーンの関係各所との調整を主体的に行い、安心安全な立ち上げをサポートし、量産開始後は、お客さまのラインの保全を至上命題として、材料供給や管理運営まで継続して対応しています。
ーグローバル展開の強みについてはどう考えていますか?
古藤:まず、当社は特定の鉄鋼メーカーさまに紐付いていないため、さまざまな材料メーカーさまとお付き合いできるのが一つの特徴です。かつ、グローバルな鉄鋼メーカーさんともお付き合いがあります。そういった強みを活かしてさらなるグローバル展開を狙っています。

海外拠点について言えば、私自身はインドネシアのジャカルタに約5年半駐在した経験があり、現地に拠点があるからこそ、というような事業部の強みも自覚しています。

現地では日本や他地域から出荷された材料などを引き受けて、安定供給を前提として構築したサプライチェーンに則って、お客さまの要望に応えました。現地には四輪車や二輪車の工場、トランスミッション工場、部品メーカーさまなど、多数の納入先があり、商材も特殊鋼や鋼板の扱いもあるなど、バラエティーに富んだ拠点ですね。

オープンイノベーションによる新たな価値提供を模索

オープンイノベーションによる新たな価値提供を模索

ー新商材の開発について、今後の展望はありますか?
朴澤:既存領域で言えば、自動車業界のアライアンスの動きが進むなかで、Hondaのみならず他のお客さまにも競争力のある電磁鋼板、アルミ板、はたまた全く違う新しい商材を安定的に調達できるスキームをご提案できる可能性も広がってくると思います。お客さまの企業価値向上に貢献ができるようにこうしたチャンスも追いかけていきたいと考えています。

その他、既存事業の枠にとらわれない新たなビジネスモデルの構築に向けても並行して活動を進めています。モビリティ業界が今後どう進んでいくのか不透明な部分が多い中、ホンダトレーディングの持続的な事業活動の継続のためには新たな事業ドメインの確立が必須である、というのが全社的な認識です。
それを背景に総合的な新規事業開発を目的とした全社横通しの組織が組成されていますが、わたしたち鉄鋼事業部では、既存事業とのシナジーを意識した新規事業開発の取り組みを2024年から独自に進めています。

一例として、我々のもつアセットと、スタートアップ企業が持つ新しい技術やサービスを組み合わせて新たなビジネスモデルの構築を目指すオープンイノベーションの取り組みがあります。まずはプッシュ型のアプローチにはなりますが、既に複数のスタートアップからご提案を頂いており、ビジネスモデルの検討を進めている状況です。成り行きに任せるのではなく、ビジネス拡大のために今後より一層この活動を本格化させていきます。
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