Case Study 02

樹脂材料でサステナビリティ社会に貢献

樹脂事業では、材料評価機能や最適な材料の提案を通じ、グローバルネットワークを基にした樹脂材料の供給を行っています。リサイクルを通じた付加価値向上をどのように進めていくのか、非鉄資源事業部・樹脂課のおふたりに、現状や今後の取り組みについて聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。

グローバルに樹脂材料の安定供給を担う

樹脂材料

ー事業概要と強みとしている生産・物流プロセスの一元管理についてご説明ください。
河村:樹脂事業では、国内外のHonda製作所や部品メーカーさまに対して、樹脂材料を納入しています。
生産・物流プロセスの一元管理とは、Hondaの生産動向を見ながら各部品メーカーの必要数量を割り出し、材料メーカーさまへ先物発注をベースとした材料調達、そしてお客さまに安定した品質でタイムリーにお届けするまでを一括で管理しています。

例えば海外のサプライヤーからの調達では、さまざまな事故やトラブルにより樹脂材料の供給が滞る事態が想定され、実際に起きたこともありました。そうなったときに、当社の現地法人と連携して速やかに物流動線を確保するといったことも私たちの役割です。

さらに、あるサプライヤーさまで予測不可能な事態により原料調達ができない場合に、他の国にある在庫から融通したり、代替材の提案を行ったりしています。つまり、私たちはグローバル調達において、BCP(事業継続計画)の一翼を担っているとも言えます。実際に地震など自然災害が発生した場合にも、国内外を問わず、いち早くサプライヤーの情報を収集してお客さまに善後策の提案を行っています。

ー 自動車業界では、再生材活用について業界目標が定められています。樹脂リサイクルにどう取り組んでいますか?
河村:樹脂のリサイクルは一般的に、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの2種類があります。後者のマテリアルリサイクルにおいては、市中から出てくる樹脂のスクラップを粉砕・分解・溶融などの技術を用いて再び樹脂材料に戻すことを指しており、材料スペックへの適合性を考慮してバージン材を混錬することもあります。

グローバルで見ると欧州のリサイクル規制は他地域よりも高い目標設定がされており、自動車業界においても、樹脂リサイクルのニーズが高まっています。そこで私たちは原料となるスクラップのトレーサビリティを確保したうえで、リサイクル材を調達して、お客さまにご提案しています。

また、九州地区においてはHondaの二輪車用に一定の配合比率でリサイクル材とバージン材を混ぜた樹脂材を製品化し、部品メーカーさま向けに供給を開始しました。
今後も当社の強みであるリサイクル材の調達力や国内外における調達先の選定ノウハウを活かし、お客さまの開発段階からサービスを提供していきたいと考えています。

外部の物性評価機関の試験を管理・サポート、厳しい品質基準を満たす

ーリサイクル樹脂の品質をどのように担保していますか?
牧野:Honda独自の規格があり、リサイクル材においてもお取引先の求める物性値を満たす必要があります。私どもはその物性評価試験のサポートも行っています。

実際に、現在私たちがグローバルに供給している樹脂においても、新たにリサイクル材をお客さまへ提案する時には、原料の確保はもちろんのこと、コンパウンドをして作られた樹脂のスペックが定められた規格に適合するまでのサポートを、外部試験機関と連携して行なってきました。特に自動車産業では、厳しいスペック要件が求められます。私どもの方でHonda独自のスペックやその他の認証を得るところまでを一貫して行うことによって、信頼性を担保しています。

牧野:リサイクル材の品質の担保とともに、リサイクル材を作る"コンパウンダー"と呼ばれる加工業者さまは中小企業が多く、与信管理も重要です。私たちは商社として、コンパウンダーさまの財務状況を見ながら、原料調達から部品メーカーさまへの納入まで一貫して対応し、安定調達に努めています。

ー樹脂リサイクルの海外展開についてはいかがですか?
河村:同じスキームでも海外ではプレイヤーが変わってきますので、私たちもさまざまな国・地域に現地法人を持っています。各国でコンパウンダーさまの選定やスクラップ原料の確保と合わせてご提案をしていくことになると思います。実際に、海外でこうした取り組みも進めているところです。

合弁で材料検査サービス会社を設立

ー材料検査受託サービスを展開されている狙いについて、ご説明ください。
河村:材料評価や各種分析に強みを持つ評価受託会社と合弁会社を設立し、自動車メーカーさまや部品メーカーさまが求める規格に対応した検査受託サービスを始めました。このサービスを立ち上げたことで、お客さまの研究開発を初期段階からサポートすることが可能になりました。

商社といっても、ものを右から左に動かすだけでなく、開発や製造領域に寄り添った機能は必要だと考えます。合弁会社を設立した効果の一つとして、素材に関する知識やノウハウが深まったことがあります。そうした知見を幅広い業界の顧客提案に生かしていこうと考えています。
当社が素材開発という川上に関われるようになったことで、より付加価値の高いサービスをご提供できるようになったと考えていますし、リサイクル材を含めて新たな材料をご提案する際にも安心してお選びいただけると思います。
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