Case Study 01

自動車業界でのアルミリサイクルのノウハウを活かし、Train to Trainに挑戦

軽金属事業ではアルミ、シリコンメタル、亜鉛、マグネシウムなどを取り扱い、商社機能だけでなく、アルミ合金製造工場を日本・インドネシア・中国に持ち自社製品を販売しています。最近では自動車用のリサイクル材の取扱いに加えて、鉄道車両の水平リサイクルにも取り組んでいます。そんな非鉄資源事業部の工藤さんに、現在の取り組みや今後の展望について聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。

原材料の発掘から品質サポートまで

非鉄事業

ー軽金属事業の概要について教えてください。
工藤: わたしたちの事業は、海外からアルミ地金を調達して日本国内で販売するところから始まりました。その後、委託加工ビジネスなどを通じて国内に商圏を拡大。そこから製造パートナーと合弁企業を立ち上げて、ものづくりの領域にもバリューチェーンを拡大し、お客さまへの安定供給とコスト競争力への貢献を図っています。

さまざまな国から新塊や再生塊、合金原料を調達し、Hondaグループから一般メーカーさままで幅広く納入していますが、これまでにも増して製品の安定供給を果たすために、原材料の確保に力を入れているところです。国内外での調達先の発掘にとどまらず、その調達先さまに対する技術アドバイスや環境サーベイなど、品質面のサポートも行い、お客さまへの提案力強化につなげています。

自動車産業以外のお客さまとも長年のお取引

自動車産業以外のお客さまとも長年のお取引

ーHondaグループ向け以外では、どのような会社に材料を供給していますか?
工藤:一つはHonda以外の自動車メーカーさまや、その系列部品メーカーさまです。もう一つが非自動車系になりますが、例えば農機具メーカーさまやアルミサッシなどの建材メーカーさまともお取引がございます。
ー最近では、地下鉄車両の水平リサイクル(Train to Train)に取り組まれているそうですね。
工藤:はい、自動車産業は他産業に比べてリサイクルが進んでいるという自負があるなかで、当社としてアルミリサイクルを他業種に水平展開できないかと模索していました。その中で、わたしたちと深いお付き合いのあるお取引先さまが鉄道やバスのような大型車両のリサイクルに強みを持っていることもあり、大手鉄道会社さまにご提案して、これまで一緒に検討を進めてきています。

2024年には実証実験として、実際に使用済みの車両を解体・選別をしたうえで、そのアルミ破砕屑を当社グループのホンダトレーディングアルミニウムで再生地金としてリサイクルを行いました。
現在はそのリサイクル材を活用して新造車両の構体や内装部品への適用検証を進めています。途中で困難に直面することもありますが、一緒に検討を進める各社さまと同じ目的意識を持って試行錯誤を行っています。
ーアルミ材を自動車から自動車へ戻すのと、電車から電車へ再生するのとでは、技術的な違いはありますか?
工藤:自動車と鉄道車両に使われるアルミ材では規格が異なりますので、その理解把握は当然のこと、スクラップの選別精度をいかに高めるかが難しいところです。そのあたりはパートナー企業さまの解体技術やスクラップの選別に関するノウハウがわたしたちの強みになっています。

高品位のリサイクル材を生産する為には、その車両の特性や使用材料を把握して、それをいかにピンポイントで取り出せるかということです。その上で、複数のスクラップ原料や添加材を投入しながら、いかに効率的にお客さまが求める規格を製作できるか、それが当社に蓄積している技術ですし、競争力の源泉ではないでしょうか。

工場内のテスト室で高品質を維持

工場内テスト室にて、材料品質テストをサポート
ー再生地金を生産するホンダトレーディングアルミニウムの強みはどこにあるのでしょうか?
工藤:アルミニウム製造工場内にテスト室があります。アルミ地金に含まれる介在物、金属組織や溶解歩留まりなどについて、材料品質をテストできることです。製造現場と研究現場が近く、開発・製造・品質テストが、スピード感を持ちながらワンストップで行えるところが強みではないかと考えています。

自動車業界向けに多岐にわたる材料を取り扱う当社では、さまざまなリサイクルを手がけていますが、アルミリサイクルに関しては1990年代から行っています。言い方を変えれば、長年の歴史がある分だけノウハウが蓄積され、それがものづくりに生かされていると感じていますね。

グループ外の部品メーカーにも供給網を広げる

ー事業の課題や今後の見通しについてお聞かせください。
工藤:リサイクルと一口に言っても、採算性を確保しながら事業を継続していくことが難しいと感じています。リサイクルと経済合理性とのバランスをいかにとっていくのか、わたしたちも日々苦労しており、そこが課題だと考えています。

今後についてですが、さまざまな業界でCO₂排出量の低減やリサイクル材の活用気運が高まっていることを現場でも感じています。
現在取り組んでいる鉄道車両の水平リサイクルは、申し上げたような課題解決にとどまらず、より包括的な車体リサイクルができるように取り組みを進めていきたいですし、他の業界のお客さまにもこうした取り組みを拡げていきたいと考えています。
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