Case Study 06

電動部品の先進物流ソリューションを世界で水平展開

部品事業部は、Hondaグループの生産を下支えしてきた経験を基に、グローバルなモビリティ業界での部品供給のネットワークを構築しています。自動車業界に押し寄せる電動化の波にどう対応していくのか。部品事業に携わるおふたりに、現在の取り組みや今後の見通しについて聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。

グローバルなネットワーク・輸送動線に強み

ー部品事業の概要や強みについて教えてください
高畦:私たちは自動車やバイク、汎用製品に使用される部品を世界中から調達し、Hondaグループをはじめとした多くのお客さまに供給しています。長年にわたりHondaグループの生産を支えてきたことから、網羅的なネットワーク・輸送動線を確保し、豊富な部品取り扱い経験があることも、部品物流の分野における当事業部の強みとなっています。

また、部品物流における最適梱包や混載などにフレキシブルに対応するために、お客さまの近くに倉庫を設けることで、輸出入・デリバリー・需給管理、梱包設計・小口貨物混載を一貫して行い、お客さまのニーズに即したサービスを提供しています。

グローバルな商物流設計においても、こうした強みを発揮しておりますが、そのなかでも主要国に営業拠点があることから、地政学リスクや各国の法規制に対応することが可能で、それによりお客さまへの最適なビジネススキームを実現させてきています。

品質面についても、世界19ヵ国に拠点を設けており、迅速かつ的確に対応できる体制を整えてきました。今後も、最適なサプライチェーンの構築とソリューション提供に磨きをかけるべく日々努力しているところです。

グローバルなネットワーク・輸送動線に強み

電動化に対応し、新しい部品物流のモデルを構築

ー自動車やバイクに電動化の波が押し寄せています。電動化による部品点数の減少といった外部環境の変化にどう対応していきますか?
高畦:電動化によって内燃機関の部品が減少していく現状を受け、当事業部では、バッテリーや駆動用モーターといったEV(電動車)用部品の取り扱いを拡大していく方針です。これまで培ってきた輸送条件に最適化した梱包設計や品質管理の強化を活かし、新たな部品物流のモデルを構築していきます。

さらに、Hondaグループの戦略と歩調を合わせながら、サプライチェーン全体の最適化に貢献することを目指しています。電動化の進展に伴い、Hondaの調達計画に柔軟に対応し、連携を強化することで、モビリティ業界全体のニーズにも応えていけると考えています。
ー車載バッテリーに関わるニーズとソリューションについてもご説明ください
上原:Hondaグループは米国において2035年までにEV(電気自動車)またはFCV(燃料電池車)の販売比率を100%にする方針を掲げています。既にハイブリッド用のバッテリーの取扱いをしていますが、今後はEV、FCV用のバッテリーの適用が増えていく予定です。
私たちとしては、新たに適用されるバッテリーについても、適正な価格で、なおかつ品質が担保できるように、バッテリーメーカーやお客さまと連携しながら、調達・供給スキームの構築を図ってまいります。
ーリチウムイオンバッテリーは温度管理などが重要だと聞いています。
上原:確かに、リチウムイオンバッテリーは、取り扱いが難しいです。実際、輸送や保管に関するさまざまな規制がありますが、規制は国によっても異なります。私たちはこれらを取り扱う際に、製品スペックなどを確認し、各国の輸送規制や消防法などに合致した梱包仕様・輸送要件・保管要件を守っています。

一番カギとなるのが温度管理でしょうか。あるバッテリーは、品質担保の為に一定の温度以下で輸送・保管が必要で、その温度も仕様書で定められています。
バッテリーを運ぶコンテナが真夏の太平洋上を通過すれば、長時間高温にさらされます。そこで、私たちは定温コンテナで運んだり、保管する倉庫にも空調を入れて24時間温度管理ができる設備にしたりといった対策を講じてきました。

ーリチウムイオンバッテリーの在庫管理についてはいかがですか?
上原:バッテリーは自然に放電しますが、バッテリーの残量が一定以下になると品質が担保できません。その為、スペックによって「○○日以内に自動車に組み付ける」といったいわゆる消費期限が定められています。
その期限を守れるように海上輸送、安全在庫としての保管を行い、お客さまに出荷しています。従って、バッテリーが生産されてからお客さまにお届けするまでのトレーサビリティ管理が重要です。
また日数管理だけでなく、倉庫に入庫した時にバッテリーにプラグを刺して、規定の充電残量があるのかどうかを確認・記録も行っています。

HEVで蓄積した経験・ノウハウをアジアなどに水平展開

ーBEVに関して蓄積した経験やノウハウを世界でどのように水平展開していきますか
高畦: 二輪車用では既にアジアでも取扱いをしていますが、四輪車用のバッテリーにおいてもアジアは重要になってくると考えております。そのため北米で進んでいるサプライチェーン機能をアジアに広げていくという構想です。

上原: 北米には当事業部の品質責任者が4名おり、30年以上のキャリアを持っているベテランばかりです。こうした人たちのノウハウをグローバルに横展開し、私たちの品質サポートを底上げする取り組みを、今まさに進めています。
温度管理、残量管理、輸送・保管のトレーサビリティ機能、また在庫レベルの適正化を通じて、世界中のお客さまの安定生産に寄与するべく、わたしたちの提供機能の高位平準化を図っていきます。

グループ外の部品メーカーにも供給網を広げる

ー事業拡大に向けた今後の方向性についてもお聞かせください。
高畦:北米はBEV、インドでは二輪関連といったように、各国で進んだ調達ノウハウを水平展開するというのが基本戦略です。さらにそうした提供価値を、Hondaグループ以外のお客さまにいかに活用いただくかも課題です。
当事業部では定期的に各地域のマネジメントが集まり、そこで情報交換をしています。
例えば、北米で先行しているバッテリーについてのノウハウの共有や、各地域の先進倉庫の視察など、現場を通じた情報交換だけでなく、各地域におけるお客さまのニーズやそれに対する対応事例を共有しながら、事業戦略を検討しています。今後も、外部環境やものづくりの変化に対応したサービス提供を進めていきたいと考えています。
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