ホンダトレーディングは、JTLep株式会社(JTLep)を2021年に共同出資により設立し、計測・試験・分析などの評価技術サービスを手掛けています。お客さまの研究開発領域を中心に、製品の品質や信頼性を評価する技術サービスを提供、最近では需要の進展が著しい車載用二次電池の評価を通じてお客さまのモノづくりに貢献しています。
そんなJTLepの立ち上げメンバーに、事業の成り立ちやお客さまへの提供価値について聞きました。
※情報は2025年3月時点のものです。
自動車の電動化で広がる評価・分析ビジネスのニーズに対応
- ー合弁会社立ち上げからの背景について教えてください。
- 伊藤:私はホンダトレーディングで樹脂事業に従事していましたが、高い評価技術を持つJAPAN TESTING LABORATORIES株式会社(以下、JTL)との合弁会社(JTLep)の設立を担当して、今はJTLepに赴任、営業責任者を務めています。
これまでホンダトレーディングで樹脂材料の調達・供給を担当していましたが、自動車の変革期において重要なCASEの領域でその技術動向の把握やそれに関連するビジネスを生み出す専門部署の必要性を感じていました。そんな中、技術を武器にしてあらゆる仕掛けを推進していくという当時の上司の構想から、特に品質領域を強化して材料供給にとどまらない、より付加価値の高いサービスを提供できないかと考えたのがきっかけです。
自動車業界でも電動化や軽量化などの技術革新が進む中、わたしたちのお客さまにおいても新しい材料や部品の開発が加速しています。こうした新しいものは、必ず製品としての品質評価を経て世に出されるというプロセスがあり、その評価・分析を担う事業の重要性が増していくと考え、特に電池分野で高い評価技術を持つJTLさんとタッグを組み、共に新たな会社を設立しました。
共創で新たなスキームを構築
- ーJTLさんとホンダトレーディングの共同出資においてどのようなシナジー効果がありますか?
- 伊藤:私たちの評価受託サービスはお客さまの研究開発の上流でご活用いただくことが多いです。その際に新たな素材や部品に関するお客さまの課題を把握することができますし、そのニーズに合致する材料を一緒にご提案することが可能です。
これまで多岐に渡る材料を取り扱ってきたホンダトレーディングの機能を活かしてQCD(品質・コスト・デリバリー)で最適な材料を研究開発の川上からご提案することでお客さまの開発競争力に貢献する。そこは価値を感じていただけると思います。
- ーJTLepは一貫評価体制も強みだと聞きました。
- 伊藤:そうですね、例えば素材の評価を得意とする会社では、材料試験は得意だけれども部品評価はできないといったところがあります。その点、当社は計測、試験、分析の一連の評価を手掛けられるところが、強みだと自負しています。
現状はさらに評価用のサンプルの「試作」の請負も増えてきました。お客さまの指示に基づき評価用のサンプルを試作、それらを当社の機器を用いて評価分析するといった、さらなる一気通貫のサービスが可能になり、お客さまの開発スピードや効率化に寄与できると思います。
メーカーからトップレベルと評価を得る電池評価
車載電池の評価も増えてきていると聞きましたが、どのようなサービスなのでしょうか?
伊藤: 電池の構造分析、電気特性、耐久性評価など目的に応じて様々な需要があります。例えば、X線CTで内部構造を解析する非破壊検査や、走査電子顕微鏡(SEM)による断面観察、実際の電池の性能を調べるための充放電サイクル試験や振動試験など多岐に渡ります。また他にも、外部の提携先を通じて取扱いが可能な評価(安全性試験等)もあります。
特に、セルの断面評価技術については、自動車メーカーさまからトップレベルだというコメントをいただくことが増えてきました。実際にメーカーさまからのご依頼も増えてきています。
電池業界で欠かせぬ存在を目指して
- ー事業の今後の方向性についてはどうお考えですか?
- 伊藤:やらなければならないことは数多くありますが、強いてひとつ挙げるとすれば、車載用バッテリー評価の面で業界全体の課題に向き合い、電動化社会の実現に向けた貢献をすること、それが最優先課題でしょうか。
また、計測から分析までの請負に加え、その前工程の試作にも拡げていくことも大切です。その一方で、当社の既存のサービスメニューにないものは、他社との提携も視野に入れながら、提供サービスを拡充していきたいですね。例えば車載用電池で言えば、セルからパック、モジュールにも事業領域を拡げていき、「電池評価といえばJTLep」と言われる会社に成長させることを目指しています。
当社はHondaグループだけでなく、蓄電池をはじめとした電池業界で必要な存在になり、お客さまの革新を支えるパートナーとなれるよう、引き続きサービスの向上に努めてまいります。