「Be Doers」の精神で切り拓く、台湾本田通商の新事業戦略

当社グループの台湾拠点である台湾本田通商股份有限公司(Taiwan Honda Trading Co., Ltd.)は、2002年に設立され、現在は台北と高雄に拠点を置いています。従来のコアオペレーションと「出島」を活用した新規事業の相乗効果を狙った取り組みについて、同社を率いる董事長兼総経理の渡邊雄介さんと、新規事業開発チームマネージャーのFalcon Lee(ファルコン・リー)さんに聞きました。

原材料供給や部品の輸出入で、アジア地域のサプライチェーンを支える

台湾本田通商は、Hondaグループのアジア地域におけるサプライチェーンの一翼を担い、部品や原材料の安定供給に貢献し、グローバルな生産活動をサポートしています。
具体的には、1. 原材料の供給2. 部品の輸入3. 部品の輸出を主な事業としています。1. 原材料の供給では、台湾国内の鉄鋼メーカーから鉄鋼コイルを調達し、中国や日本を含むアジア域内の四輪・二輪車工場へ輸出しています。2. 部品の輸入では、海外から調達した部品を、台湾の屏東(ピントン)にあるHondaの四輪車工場へジャストインタイムで納入。この工場では年間約3万台の自動車が生産されています。そして3. 部品の輸出では、タイヤやミラーなど台湾メーカーの製品を輸出するほか、近年はセンサーなど、電子部品の輸出も増加傾向にあります。

One&Coのサイン前で撮影された、今回のインタビューに登場したファルコンさんと渡邊さんの写真
台北オフィスにて 左からファルコンさん、渡邊さん

さらに、100年に一度の変革期にあるといわれる自動車産業とは別軸での、新規事業創出にも注力しています。たとえば、台湾で委託生産パートナーを見つけてHondaと共同開発した小型eモビリティを北米市場で販売したほか、今後は台湾のモーターメーカーと日本のコイルメーカーをマッチングしたモーター関連部品の共同開発や、日本の蓄電デバイスを輸入して台湾サーバーメーカーへの納入を目指すなど、新たな領域での事業実現に向けて取り組んでいます。

Taiwan Honda Trading Co., Ltd. 拠点詳細

台北オフィスを「新規事業ハブ」に ネットワーキングや協業先探索を活発化

こうした事業展開をするにあたり、2024年に拠点機能の再編を実施。台北オフィスは「新規事業ハブ」として、高雄オフィスはコア事業を一貫して遂行する「コアオペレーションハブ」として役割分担し、相乗効果が期待できる体制としました。特に台北オフィスはネットワーキングや新事業プロモーション、協業先探索を行う「出島」の機能を持たせるために、台北駅から一駅の中山エリアにある、利便性の高いコワーキングオフィス「One&Co」に入居しています。「私自身、台湾に駐在する前は新規事業部門の立ち上げに携わり、本社を離れて東京・虎ノ門にあるインキュベーション施設のメンバーとなりました。そこでの異業種交流がさまざまなアイデアにつながった体験から、台北でも同様のオフィスへの入居を決めたのです(渡邊さん)」。

台湾の2拠点合同の社員旅行で撮影された集合写真。HT Honda Tradingのバナーを掲げた参加者たち。
社員旅行は2つの拠点一緒に
One & Coのネオンサインがあるオフィス内観
開かれたデザインのOne&Co Taipei
One&Co Taipeiの開設2周年を祝うピッチイベントの様子
One&Co Taipei 2周年ピッチイベントにも参加

実際に、20246月の台北オフィス移転以来、入居企業約100社との活発な交流によって新たなビジネスのきっかけが生まれるなど、大きな効果が現れています。「社内の合言葉として『Be Doers』を掲げています。新しいことをやる上で課題や困難があっても、どうしたらやれるかを考えて『行動する人になろう』という意味です。実行する商集団として、新しい取り組みを積極的に進めていきますので、さまざまなお客さまにご注目いただきたいですね(渡邊さん)」。

TAITRAとの深い連携で、精力的にビジネスマッチングを推進

さらに、新たなビジネスの発掘を狙い、イベントにも積極的に参加しています。まず今年の4月30日には日本で言うところのJETROにあたる台湾貿易センター(TAITRA)の高雄事務所と「台湾本田通商事業交流会(ホンダトレーディングビジネスマッチング会)」を共催。地元・高雄の自動車部品や車体、樹脂、金型、機械設備など、自動車や二輪車関連の製造・輸出業者が多数参加して商談を行いました。自社の製造能力を活かして、グローバルな取引機会の獲得を目指す地元ベンダーにアプローチすることができたほか、国内では入手の難しい革新的な製品のニーズを多くいただきました。優れた技術を持つ地元の中小企業が、ホンダトレーディングの持つグローバルネットワークを活かして海外市場や国際企業との接点を持つ機会にもなっています。

台湾本田通商は安全運転支援技術やカーボンニュートラル対応、循環型材料といった自動車関連の先進領域に注目し、今後の協業について模索しました。たとえば、ある台湾のスタートアップ企業が独自のビジネスモデルで製造するリサイクルPETです。アパレル産業で発生する化学繊維の端材を無償で回収して作るため、炭素排出量は新品PET1/5で、しかも安価。他の原材料を加えることでABSPPに近い性質を持たせることができ、再リサイクルも可能というものです。台湾本田通商では、このように期待される技術や商材を見いだして、新たなビジネスにつなげようとしています。実際に、ある参加企業からは航空宇宙産業向け特殊鋼材に関する見積依頼がなされるなど、具体的な商談が進みつつあり、手応えが感じられています。

台湾本田通商事業交流会に参加する渡邊さん、ファルコンさんの様子
台湾本田通商事業交流会 参加企業との交流の様子
台湾本田通商事業交流会の参加者集合写真
TAITRA高雄の張所長、参加企業の皆さんと

また、528日にはTAITRA主催の「South Asia Business Day」が台北で開催され、インドから招致された116社が調達ニーズに基づいて訪台し、台湾のサプライヤー約1000社との商談を行いました。台湾本田通商も日系商社では唯一このイベントに参加し、サプライヤーの一員としてインド企業複数社と商談を行いました。

外需依存型の台湾では、海外のバイヤーに対して台湾技術をPRする場を政府系機関が積極的に設けており、TAITRAでも世界各地に展開する拠点を通じて各国企業を台湾に招致して、活発にビジネスマッチング機会を提供しています。
だからこそTAITRAが主催する商談会では各バイヤー企業が一日に10社以上のサプライヤーと面談するなど、きわめて競争が激しい状況です。そこで、台湾本田通商ではグループのグローバルネットワークを活かして、インド拠点のメンバーとともに参加をしました。「インドからのバイヤーと母語で直接会話できることで、当社の国際対応力と信頼性を体感いただけました。帰国後にインド国内での窓口がある安心感も持ってもらえたと思います(ファルコンさん)」。

TAITRAではこのような国際調達イベントを活発に開催しており、本年度も南アジア、ASEAN、欧州、米国、アフリカ等を対象にBusiness Dayを予定。台湾本田通商でも積極的に参加していきます。

South Asia Business Dayのバナーの前で、参加した社員の集合写真
台北で開催されたSouth Asia Business Dayに参加した台湾とインドのホンダトレーディングメンバー

「Think Globally, Act Locally」で、国際貿易の最適なパートナーへ

台湾本田通商は、2030年までに事業全体の25%を新規事業にすることを目指しています。 そのために、台湾の強みであるITや半導体関連の技術をグローバルに向けてプロモーションし、自動車分野にとどまらない新たな価値の創造を目指していく方針です。

TAITRA以外の各種公的機関とも連携を強化しています。たとえば、台湾工業技術研究院(ITRI)と先端半導体技術交流を実施したり、台湾金属研究中心(MIRDC)とアルミリサイクル産業に関する調査を進めたりしています。このようなローカルとの連携力は、台湾本田通商の大きな強みです。また、クロスボーダーでの対応力も強みで、国際的な総合商社として国をまたいだ取引における煩雑な手続きや法令対応、通貨、支払い条件の調整などに長けています。国際マーケティングに精通しているため、これまで想定されなかった市場への展開も可能です。さらに多言語対応できるスタッフがいるため、国際間での商談や技術打ち合わせ、仕様確認などもスムーズです。

そのほか、環境・技術対応面ではHondaグループが掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向け、2024年より有機太陽電池(OPV)に使用される材料供給事業に本格参入。量産段階にある革新的な製品に着目して、台湾のスタートアップと日本の取引先企業の間での技術ミーティングを支援しています。2025年上半期の受注件数は2024年通期の4倍となるなど、安定した成長を続けています。

台湾本田通商はこのような取り組みや強みを武器として、「Think Globally, Act Locally」という行動指針のもと、グローバルな視野で繊細かつきめ細やかなローカルサービスを提供しています。「ぜひ、多くのお客さまの国際貿易におけるパートナーとして、ご注目ください(ファルコンさん)」。

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